名古屋駅前のビジネスホテル
すっかりビジネスホテル慣れした私たちであったが、
こんどのホテルは古い造りの建物だった。
万博の頃の鉄筋コンクリートであろうか。
円筒状の外観そのままに、内部の部屋も円筒状に並んでいた。
廊下も無限に続いているような錯覚に陥る。
その部屋は窓が上の方にあって、部屋の小さく幅も狭い。
わずかに扇形になっている気がする部屋。
ちいさなユニットバス。コンクリートペンキ塗りの室内壁。
監獄である。小さい窓からでも名古屋駅前が見下ろせる。
下界を見ながら、いつ頃解放されるのであろうかと思いを巡らしていた。
ホテルと駅の間にサンテオレかロッテリアか忘れたが、ファーストフードの店があって
そこに毎朝通うのが日課になった。
いつも同じ曲がかかっていたので、いまでもその曲を聴くと鬱陶しさが甦る。
曲名は忘れたが当時かなり流行った洋楽のグループだ。
この店を出ると夜の11時までは帰ってこられない。
これを日曜日返上でやっているのだから、部屋が監獄に感じられてもおかしくなかったのだ。
それを疑似体験できたのは貴重な収穫だ。
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