半蔵門

半蔵門は皇居の門の前にあたる。
半蔵門の脇のお堀沿いには、東条会館、ワコール本社、
FM東京、半蔵門会館、国立劇場、
国会議事堂、警視庁と有名な建物が並んでいる。
機動隊の装甲車が止まっているのをよく見かけた。
自分は悪くもないのに犯罪者のような気分になる。
半蔵門会館は警察関係の人のための施設だと聞いた。
一階の食堂は安くて量も多い。
昼休みになると食券売場に行列ができる盛況ぶりで、
私たちはこの食堂でよく昼飯を食べた。
まわりは半分以上刑事さんだったかもしれない。
狭いロビーには礼服の人たちが溢れていた。
結婚式の披露宴で集まった人たちだ。

半蔵門にコンピュータソフトの開発室があるのも不思議な話だ。
NECとNTTと三井造船の底力だろうか。
仕事場のビルはこの当時では珍しいインテリジェンスビルと呼ばれるものだった。
インテリジェンスビルとはコンピュータ設備を設置しやすいように工夫されたビルをいう。
床が10センチほど上げ底になっていて、その中に電源コードや信号ケーブルを通すようになっている。
空調も利いていて、コンピュータを冷やす。
壁も組立式になっていて間取りを変えやすくなっている。
ビル全体もコンクリートを使わない構造になっているらしい。
設計者には気の毒だがコンピュータ用だけあってあまり居心地が良くない。
床がコンクリートでないので、どうも落ち着かないのだ。

Hさんが珍しいものを見せてくれた。
PC9801上で動くそのソフトはフロッピーで10枚近くあった。
Hさんは熱心にこのソフトの説明をしてくれた。
白い画面に沢山のファイル名。
私はHさんが感心しているものがわからなかった。
フロッピーの枚数からしていろんなソフトが入っているのだろうか。
白い画面というのも目に眩しいし、動きも遅い気がする。
Hさんだけがそのソフトの先見性を見抜いていた。
これがウインドウズの最初のバージョンだった。

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