玉野到着

朝、東京駅を新幹線で出発した。
たしかKさんとTさんと私の三人だと覚えている。
駅弁を食べるのも久しぶりで、少々旅行気分であった。
名古屋を過ぎ京都、大阪と過ぎ、神戸に来る頃には車窓もうっすらと青みをおびてくる。
岡山についた頃には日も暮れていた。
そこから、乗り換えて普通電車に乗る。
少し混みあっている車内の中、立っている私たち三人。
荷物を床に置き、揺れる車内の光景は今でも思い浮かぶ。
宇野駅は終着駅で、今はなくなってしまったが宇高連絡船のフェリー発着場でもある。
その駅前からタクシーに乗って5分ぐらい走ると三井造船の寮についた。
この寮は造船所で働く独身男性のためのものと聞いた。
部屋に案内された。
室内は縦長の4畳くらいの広さであろうか、鉄筋コンクリートの白壁に鉄のサッシの窓、
作りつけのベッド、その向こうに幅50cmくらいの机。第一印象は狭いな、と思った。
その後、食事をとったかどうかは覚えていないが、
建物の中央に温泉なみの大きな風呂場があって、
その風呂が気持ちよかったことは思い起こせる。
食堂は広く、夕食と朝食をここで食べることになる。
夕食は魚とみそ汁が多かったような気がする。
朝食はニコニコのり、生卵、みそ汁、ご飯、というシンプルなもの。
この近所には食堂やお店がなかったので、ほかに選びようもなかった。
翌日、開発現場のある玉野へタクシーで向かう。
宇野から10分くらい走ると造船所の横を通る。
大きな船とクレーンのようなものは見えるが、あまり活気はなかった。
そこを通り過ぎ、タクシーは丘を登り始める。
団地や家が建ち並んでいる町を通り過ぎ山にさしかかって、
玉野の研究所のようなところに着く頃には、すっかり山奥であった。
ここにコンピューターソフトウェアとハードウェアを組み立てる工場のような施設があり、
百人近い技術者達が働いていた。

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