原稿用紙

私はKさんという先輩の下に付いた。
Kさんは私にフォートランという言語について教えてくれた。
この当時、コンピュータ上でテキストを打つのは大変だった。
現在、当たり前のように使っているスクリーンエディタというソフトがなかったのだ。
スクリーンエディタというのはワープロソフトから印刷機能を抜いたようなやつだ。
どうやってプログラムを打ち込んだのかと言えば、原稿用紙を使ったのだ。
横書き80文字25行の原稿用紙でこれに鉛筆でかいたプログラムを
キーパンチャーに打ってもらうのである。
私は原稿用紙に向かって初めてフォートランというプログラムを書いてみた。
Kさんは厚さ3センチぐらい書いていた。
なんてすごい人なんだろう、と私は思った。
Kさんは硬派だった。
ガムを噛みながら仕事をしてはいけないと教えてくれた。
Kさんが以前、注意されていたからだった。

つぎ

もどる