参考書

入社して一年ほどして、会社にPC9801が入った。
初代98は安くて高性能だった。
この当時、三菱のマルチ16が200万円したのに対して
98は50万円ほどで同じ性能を出した。
しかも、当時としてはまだ珍しい日本語を表示できるパソコンだった。
内蔵のBASICもNEC独自で作ったもので、
とても使いやすくNECの社内でも一斉に普及した。
おかげでお得意のBASICの仕事が増えた。
98はCP/Mというオペレーティングシステムが使えることでも話題になった。
さっそく社員のみんなは参考書を探しに本屋へ向かったが、パソコンの本自体がおいていなかった。
いまのコンピューター書籍コーナーからは想像できないくらい、本がなかった。
技術書のコーナーの片隅に2〜3冊あった本を片っ端から買っていった。
しばらくして、マイクロソフトからMS−DOSというオペレーティングシステムが登場した。
社員はまた、本屋に向かった。CP/Mと同じシリーズでMS−DOSの参考書があった。
MS−DOSはCP/Mより安くて速かった。
MS−DOSはアセンブラというプログラム言語が使えた。これはBASICの何十倍も速かった。
これとBASICを組み合わせるのが当時の流行だった。
やがてC言語が登場した。
またもや社員たちは本屋へ向かった。
Cはまだ新しい言語だったので参考書がなかった。
しかし「初めてのC」という本を見つけ、みんなで大喜びした。
「初めてのC」は恥ずかしいタイトルも評判を呼んで社内に広まった。

つぎ

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