打ち上げ
ガイナックスのゲームは一般のお店に出る分と、通信販売で宅配する分があった。
サイレントメビウスの通販の申し込みは1000本は軽く超えていた。
いつもは手の空いている社員が梱包用の箱に詰める簡単な仕事だったのが、
何千本もある商品を一つずつ包んでいくためにほとんどの社員が駆り出された。
NHK放映中だった「ふしぎの海のナディア」のスタッフ以外は一日中、箱詰めをしていた。
予想以上の大ヒットに箱づめをしながらも熱気が漂っていた。
その出荷も終わり、打ち上げをやることになった。
打ち上げは吉祥寺駅のそばのスエヒロですき焼きの食べ放題になった。
IKさん、A先生、Oさん、TMさんなど、ガイナックスの社員の多数は会社から絵気前へ向かった。
ガイナックスのほぼ全ての社員に加えて原作者のASさんも来た。
乾杯はIKさんだっただろか。
みんな生ビールを手に乾杯した。
みんなでソフトの完成を喜び合うのは初めてだった。
IKさんは次々とビールに焼酎を注がれて飲み干していた。
KDさんがIKさんの頭を両手で回転させて、酔いをまわさせていた。
制作のATさんやマニュアル作成を担当した○○さんも
IKさんに祝い酒をすすめた。
肉と酒で満腹になった。
予想以上のヒットにASさんも楽しそうだった。
お開きになっても熱気は覚めやらない感じだった。
IKさんはかなり酔いが回って、気分が悪くしていた。
両脇を抱えられて寝部屋と呼ばれる仮眠室に放り込まれた。
しばらく余韻に浸っていると、寝部屋で仮眠をしていたアニメーターの人が
「噴水のような音をさせて吐いている人がいる」とやってきた。
見に行くとIKさんが寝床から、胃の中ものをカーペットの床に流して寝込んでいた。
みんな引いた。私とA先生でIKさんを抱えて出した。
A先生はズボンを汚してしまい、IKさんは恐縮していた。
盛りあがりも少し冷めた頃、サイレントメビウスのソフトは売れ行きを伸ばしていった。
その後、IKさんはM先生と組み、バトルスキンパニックを、
私はA先生と組んで、プリンセスメーカーの作成にかかる。
つぎ
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